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シンガポールストーリー本当の最終回へ

<あれから>



「暑いなあ・・・」
しかし、本当に暑い・・死にそうとはこのことを言うのか・・
50度までしかない温度計をとっくに振り切っているこの温室の暑さ・・
200*年夏。私は田舎の温室の中にいた。
あれから十数年。あまりにもいろいろあった。そして今の私はエリート行員でも何でもない。
ただの貧乏百姓。


沙里と別れて十数年、もう沙里を思い出すこともなくなっていた。
いや、それは自分の心を偽っているな。やはり「シンガポール」。その言葉を聞く度に思い出す。
しかし、私の状況は様変わりした。
今の私は飛ぶ鳥を落とす勢いだった銀行員では無く、自分の生活するだけの収入も稼げないような、しがない農家。当然、金融用語とも、英語とも全く縁の無い生活を送っている。
楽しみと言えば、数年前始めたSNS。
今日も農作業の合間にやっていた。本当に平凡な日々。


の、はずだった。


ある日、変なメッセージが届いていた。
「お久しぶりです」
そのメッセージのタイトルはそうだった。開くと、
「覚えていますか?私のこと?」
中味はそれだけだった。
それも、名前は、
「sari」
だった。
迷った。
本当に迷った。返事を出していいものか。
なぜか悪寒がした。
迷った末、何年もコントクトしていなかった「深堀」に電話していた。
久しぶりだったので、お互いの近況を言い合ったあと、
沙里については、深堀から切り出して来た。


「そういえば、むかーし、お前に言おうとして言い忘れたことがある。」
「?」
「沙里さんって言ったっけ?別れてからの消息知ってるか?」
「知らない・・・けど、今日、変なメッセージが来た。」
「メール?」
「違う。SNSの中の」*1
「どんな?」
「覚えていますか?だって。それも名前はsari」
「やはりな」
「え?」


*1ムラゴンには確か、その機能ないような・・